老人ホームの紹介センターに相談しようとして、「本当に無料なのか」「あとで何か請求されないか」と手が止まっている方は少なくありません。退院日が決まり、早く動きたいのに、お金の流れが見えないまま電話をかけるのは不安です。

結論から言うと、相談者の負担は通常無料で、紹介会社の収入は入居が決まったときに施設側から支払われる紹介料です。最初の一手は、電話の冒頭で「紹介料はどちらから出ますか。提案する施設に偏りはありますか」と聞くことです。

この記事で分かることは次の3つです。

  • 紹介センターが無料でいられる理由と、紹介料が動く順番
  • 手数料の目安と、急ぐ場面で起こりうること
  • 電話や面談でそのまま使える質問チェックリスト

老人ホームの紹介センターはなぜ相談者が無料なのですか?

紹介センターの相談が無料なのは、費用を相談者ではなく入居先の施設が負担する仕組みだからです。LIFULL介護のコラム(2025年7月更新)によると、紹介料は入居が決まった時に施設側が紹介業者へ支払い、相談者の利用料は通常無料とされています。

施設から見ると、自社で広告を出して入居希望者を探す代わりに、紹介会社へ成果に応じた費用を払う形です。相談者から見ると、相談・資料請求・見学の調整までを費用なしで頼めます。

ただし「無料」は相談の入り口の話です。入居後に払う家賃や管理費、介護サービスの自己負担は、どの経路で入居しても施設との契約で決まります。紹介センターを通すことで条件が変わるかどうかが気になる場合は、見学時に施設へ「紹介会社経由と直接申込で、契約条件に違いはありますか」と聞いておくと確かめられます。

紹介料は誰が誰に、いつ払うのですか?

流れは、相談者・紹介会社・施設の3者で整理すると見通せます。下の表は、一般的な流れを払う側・受け取る側の順に並べたものです。

段階払う人受け取る人内容
相談・見学の調整相談者なし通常は無料
入居の契約相談者施設入居一時金・月額利用料など
入居の決定後施設紹介会社紹介料(入居が決まった時に支払い)

大切なのは、紹介会社に収入が入る時点が「入居が決まった時」だという点です。相談や見学の段階では収入が発生せず、入居が決まって初めて紹介料が動きます。この仕組みは、親身に動く動機にもなり得ますが、入居までたどり着くことが収入に直結する構造でもあります。

だからこそ、提案された施設が自分の条件に合うかどうかは、相談者側でも確かめる必要があります。条件を伝えたうえで「この施設を挙げた理由は何ですか」と聞くと、提案の根拠が分かります。

紹介料の目安はどのくらいとされていますか?

手数料の目安は、入居者の月額利用料の1〜3か月分程度、またはそれに相当する定額で設定されることが多いとされています(LIFULL介護コラム、2025年7月更新)。これは一般的な説明であり、特定の会社の料率ではありません。実際の金額は会社と施設の取り決めで変わります。

料率や契約内容は、紹介会社と施設の間の取引なので、相談者からは見えにくいものです。そのため、金額を探るよりも、「紹介料のある施設とない施設を、どう扱って提案していますか」といった提案の姿勢を聞くほうが実用的です。

業界団体の高住連(高齢者住まい事業者団体連合会)は、紹介事業者の届出公表制度を設けています。公表期間は毎年10月から翌9月末で、届出は毎年更新です。届出事業者の検索ページもあるので、電話をかける前に会社名で調べられます。届出は高住連への入会を意味せず、遵守項目に違反や虚偽があれば公表が取り消されることもあります。

届出法人数は、厚生労働省の検討会資料(第2回、2025年4月28日)によると、2025年4月1日時点で625法人です。

急いでいるとき、紹介の仕組みで何に気をつければよいですか?

退院日が近いと、「早く決めたい」気持ちが先に立ちます。紹介料が入居決定後に支払われる仕組みである以上、急ぐ場面ほど「決まりやすい施設」が先に出てくる可能性は、頭の片隅に置いておくと安心です。

高住連は2025年1月以降の届出から、手数料の設定と倫理に反する行為の例を遵守事項に定めています。要点は2つあります。1つ目は、手数料を家賃等の自費部分に応じた平均的な水準から大幅に上振れさせないこと、社会保障給付をあてにした金額設定は慎むことです。2つ目は、倫理に反する例として、成約後の金銭による誘導、状況に応じた手数料の設定、病院のソーシャルワーカー等へのリベートが挙げられていることです。

この中で、退院が迫る家族に関係するのは「状況に応じた手数料の設定」です。急ぎのときに紹介料が変わるなら、提案が紹介料に引っ張られるおそれがあります。これを読者が確かめる質問に変えると、次のようになります。

「今回の提案は、紹介料の多い少ないで順番を変えていませんか」

「届出制度の遵守項目に沿って運営していますか。届出の有無を教えてください」

「入居が決まった後に、金銭や物品を渡す取り決めはありますか」

ここで押さえたいのは、これらの質問が会社を疑うためではなく、同じ条件で比べるためのものだという点です。どこまで具体的に答えてもらえるかも、比べる材料になります。回答があいまいなままなら、他の窓口と並行して話を聞くのも一つの方法です。

なお、成約後の金銭による誘導を禁止する法律はなく、あくまで届出制度上の倫理違反の例という位置づけです(LIFULL seniorと高住連事務局長の対談、2025年7月30日公開)。判断は、書面や口頭での説明を聞いてから行うと整理しやすくなります。

関連記事: 老人ホーム紹介会社がしつこい時の止め方と選び方

紹介会社に聞くべき質問チェックリストは?

ここまでの内容を、電話や初回面談でそのまま聞ける形にまとめました。回答の良し悪しは断定せず、他社と並べて比べるための材料として使ってください。

聞くこと質問の例
費用の根拠相談者の負担がない理由は何ですか。入居後に請求が発生する場面はありますか
紹介料の扱い施設ごとに紹介料が違う場合、提案の順番に影響しますか
届出の有無高住連の紹介事業者届出公表制度に届出していますか
対応エリア親の入院先と、家族の住まいの両方のエリアに対応していますか
提案までの日数退院予定日を伝えたら、最初の提案までにどのくらいかかりますか
見学同行・送迎見学に同行してもらえますか。送迎の手配は可能ですか
取扱施設数取り扱っている施設の数と、掲載から外れている施設の考え方を教えてください
入居後フォロー入居後に困りごとが出たとき、連絡できる窓口はありますか
複数社への依頼他の紹介会社にも相談している場合、扱いは変わりますか
成約後の対応入居が決まった後に、金銭や物品を渡す取り決めはありますか

退院が迫っている場合は、「提案までの日数」と「見学同行・送迎」を最初に聞くと、動き出しが早くなります。複数の窓口を比べる際は、同じ質問を同じ順で聞くと違いが見えます。

関連記事: 老人ホーム紹介センターを使うべき人と不要な人の判定表 関連記事: シニアのあんしん相談室を退院前に使う手順と電話で聞く質問

よくある質問

Q. 紹介センターを使うと、施設の入居費用は高くなりますか?

紹介料は入居が決まった時に施設が紹介会社へ払うもので、相談者の利用料は通常無料とされています(LIFULL介護コラム、2025年7月更新)。ただし契約条件は施設ごとに異なるため、見学時に「紹介会社経由と直接申込で、条件に違いはありますか」と確認してください。

Q. 紹介会社が届出していないと、使わないほうがよいですか?

届出の有無だけで良し悪しは決まりません。届出は高住連の公表制度で、毎年更新され、遵守項目に違反や虚偽があれば公表取消もあります。未届出の場合は、紹介料の扱いや提案の根拠を、上のチェックリストで聞いてから判断してください。

Q. 複数の紹介会社に同時に頼んでも問題ありませんか?

複数社への相談はできますが、扱いは会社ごとに異なります。初回の電話で「他社にも相談してよいか」を聞き、同じ施設が重複して提案された場合の対応も確認しておくと、混乱を避けられます。

退院日が近い方は紹介センターを並行して使い、時間に余裕がある方はチェックリストで2〜3社を同じ質問で比べると、納得して選びやすくなります。


本記事の情報は2026年11月時点で公開されている情報をもとにした目安であり、紹介会社・施設・自治体によって条件は異なります。退院時期や介護度に関わる判断は、病院の相談員・ケアマネジャー・自治体窓口にご相談ください。