病院から「来月には退院です」と告げられ、老人ホームの紹介センターを使うべきか、病院の相談員に任せればよいのか迷っている方は少なくありません。結論は、退院日が決まっていて、候補の施設がまだ1つもない人は使う側に入る、というものです。反対に、介護度が出ていて担当のケアマネジャーがいて、退院まで時間がある人は、まず身近な窓口で足ります。
最初の一手は、病院の相談員に「老人ホームの候補を何件まで紹介してもらえますか」と聞くことです。答えの件数と範囲が、紹介センターが必要かどうかを判断する手がかりになります。
この記事で分かることは次の3つです。
- 紹介センターを使うべき人と、使わなくてよい人の分かれ目
- 退院が迫っている人が使う側に入る条件
- 紹介会社を選ぶときに聞く質問10項目
紹介センターを使うべき人と不要な人の判定表
判断の軸は「候補の数」「相談できる人がいるか」「残り時間」の3つです。次の表は、2026年11月時点の一般的な目安です。個別の事情で変わるため、最後は病院の相談員やケアマネジャーに確かめてください。
| 状況 | 紹介センターを使う側 | 相談員・ケアマネで足りる側 |
|---|---|---|
| 退院までの時間 | 退院日が決まっていて短い | 退院日が未定、または余裕がある |
| 介護度・ケアマネ | 認定が未了、または担当ケアマネがいない | 認定済みで担当ケアマネがいる |
| 候補の施設 | 1件も挙がっていない | 病院やケアマネから複数提案済み |
| 探す範囲 | 親の自宅と子の自宅の両方の周辺など、広い | 病院の近隣など、狭い |
| 家族の動ける時間 | 平日の見学が難しい | 見学や面談に時間を割ける |
「使う側」の列に2つ以上当てはまるなら、紹介センターに相談する価値があります。「足りる側」に3つ以上当てはまるなら、まず病院の相談員とケアマネジャーに提案を頼んでください。
退院日が決まっている人が使う側に入る3つの条件
退院が迫っている場合、紹介センターを使う側に入るのは次の3つのうち、1つでも当てはまるときです。
1つ目は、病院の相談員から候補の提案がまだなく、家族が自力で探し始めている場合です。ネットの施設一覧は件数が多く、空室や受け入れ条件までは分からないことがあります。紹介センターは、窓口によって電話での空室確認や見学予約まで受け付けているので、確認の手間を減らせます。
2つ目は、探す地域が広い場合です。病院は近隣の施設に詳しい一方、親の自宅周辺や、子の自宅近くまで範囲を広げたいときは、地域をまたいで施設を取り扱う紹介会社から提案を受けやすい場合があります。紹介会社ごとに対応エリアが違うので、先に聞いてください。
3つ目は、平日に動けない場合です。見学の同行や日程調整を頼める紹介会社なら、仕事を休める日数が限られる家族でも見学を進められます。
なお、介護保険の認定は申請から結果の通知まで原則30日以内とされています(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)。認定が未了のまま退院日が近い場合は、ケアマネジャーや市区町村窓口への相談と並行して紹介センターを使う形が現実的です。
病院の相談員・ケアマネで足りる人の条件
紹介センターが不要なのは、次の条件がそろっているときです。
要介護1以上の認定が出ていて、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが決まっている人は、ケアプランの作成を含めて、そのケアマネジャーに施設探しを相談できます。要支援の人は、地域包括支援センターが窓口です。関連記事: 退院調整のソーシャルワーカーが探してくれない時の頼み方
いずれも介護保険サービス全体を見渡して助言してもらえる窓口です。
病院の相談員にも退院先を相談できます。退院日が見えていて候補が複数提案されているなら、紹介センターを足すと情報が重複することがあります。
ただし、提案が近隣の施設を中心とした範囲になることもあります。提案が1〜2件に限られると感じたら、比較の材料を増やす目的で紹介センターを足す方法があります。この場合は、すでに出ている候補を伝えたうえで「それ以外の選択肢を知りたい」と頼むと、話が早く進みます。
紹介センターが無料の仕組みと、使う前に知る3点
紹介センターの相談は、利用者にとって通常は無料です。収入の流れは、入居が決まったときに施設側が紹介会社へ紹介料を払う形が一般的です。紹介手数料は、入居者の月額利用料の1〜3か月分程度、またはそれに相当する定額で設定されることが多いとされています(LIFULL介護コラム、2025年7月更新)。
この仕組みから、使う前に知っておきたい点が3つあります。
1点目は、提案がその紹介会社と契約のある施設に限られる場合があることです。紹介会社ごとに取扱施設が違うため、「提携していない施設は提案の対象外ですか」と聞くと、提案の範囲が分かります。
2点目は、届出の有無を確かめられることです。高住連は紹介事業者の届出公表制度を運営していて、届出は毎年更新、公表期間は毎年10月から翌年9月末です。遵守項目に違反や虚偽があれば公表が取り消されることがあります。届出は高住連への入会とは別の手続きです。届出事業者は全国703社(2025年7月1日時点、LIFULL seniorと高住連事務局長の対談)とされ、高住連の検索ページで会社名を調べられます。
3点目は、金銭による誘導です。高住連は2025年1月以降の届出で、手数料を社会保障給付をあてにした金額にすることを慎むよう定め、成約後の金銭による誘導も倫理に反する行為の例に挙げています。入居後の金銭的な見返りを前面に出す案内を見たら、施設選びの基準が費用や条件から離れていないか、立ち止まって確認してください。関連記事: 老人ホーム紹介センターが無料なぜ?紹介料の流れと確認点
向かない人の条件も押さえておきます。希望の施設がすでに決まっている人は、施設へ直接申し込むほうが早い場合があります。紹介会社を通すと、連絡の窓口が増えるためです。
紹介会社に聞くべき質問チェックリスト
紹介センターを使うと決めたら、最初の電話で次の10項目を聞いてください。答えの良し悪しを決めるためではなく、自分の状況に合う会社かどうかを見極めるための質問です。
- 対応エリアはどこまでですか(親の自宅周辺と、子の自宅周辺の両方を探せますか)
- 退院予定日を伝えた場合、最初の提案までにどのくらいかかりますか
- 見学の同行や送迎は頼めますか。費用はかかりますか
- 入居後のフォローは、どんな内容で、いつまで受けられますか
- 取り扱っている施設数と、提携していない施設の扱いを教えてください
- 相談が無料という費用の根拠は何ですか(施設側から紹介料を受け取る仕組みですか)
- 高住連の紹介事業者届出はありますか。公表期間はいつまでですか
- 複数の紹介会社に同時に相談しても問題ありませんか
- 提案を断りたいとき、どの方法で、いつまでに伝えればよいですか
- 担当者が替わった場合、条件の引き継ぎはどうなりますか
質問の前に、病院から伝えられた退院予定日、要介護度、医療行為の有無、予算、希望エリアをメモにまとめておくと、電話が短く済みます。
よくある質問
紹介センターを使うと、病院の相談員やケアマネへの相談は不要になりますか
不要にはなりません。退院日や介護度に関わる判断は、病院の相談員とケアマネジャーに確かめてください。紹介センターは施設探しの補助として、並行して使ってください。
紹介センターに相談したら、契約が前提になりますか
契約の義務はありません。相談や見学は、断ってよいタイミングがあります。提案の内容に納得できなければ、その時点で断りたい旨を伝えれば足ります。
紹介センターは複数使っても構いませんか
複数社への相談は可能です。ただし、同じ施設を別々の会社から重複して提案される場面があります。どの会社に何を伝えたかを手元で記録しておくと整理しやすくなります。関連記事: 老人ホーム紹介会社は複数に頼む?1週間の動かし方
本記事の情報は2026年11月時点で公開されている情報をもとにした目安であり、紹介会社・施設・自治体によって条件は異なります。退院時期や介護度に関わる判断は、病院の相談員・ケアマネジャー・自治体窓口にご相談ください。