親の退院日が見えてきて紹介会社に相談したものの、提案された施設が合わなかったり、連絡の頻度が重く感じたりして、断り方に迷っている方は少なくありません。「ここまで動いてもらったのに悪い」「断ったら費用を請求されるのでは」という気持ちが、返事を先延ばしにする原因になりがちです。

結論から言うと、老人ホームの紹介を断ってよい場面は相談前・提案後・見学後のどこにもあり、断る側が費用を負担する仕組みは通常ありません。最初の一手は、次の連絡が来たときに「今回は見送ります」と一文で伝えることです。この記事で分かることは次の3つです。

  • 紹介を断っても相談者に費用が通常かからないとされる理由
  • 電話・メール別に、そのまま使える断りの文例6本
  • 相談前・提案後・見学後それぞれで断ってよいタイミング

老人ホームの紹介を断っても費用はかかる?

紹介会社の収入は、入居が決まったときに施設側が支払う紹介料です。LIFULL介護のコラム(2025年7月更新)によると、紹介料は入居が決まった時に施設側が紹介業者へ支払い、相談者の利用料は通常無料とされています。金額は入居者の月額利用料の1〜3か月分程度、またはそれに相当する定額で設定されることが多いと同コラムは説明しています。

この仕組みでは、入居しなかった場合に紹介料の支払い先がありません。相談者が紹介会社へ料金を払う構図ではないため、提案を断ること自体で費用が生じるケースは通常想定されていません。

ただし「通常」であって、全社が同じ条件とは限りません。相談を始める前に、次の一文を電話かメールで確かめておくと安心です。

相談や見学同行は無料と考えてよいですか。入居しなかった場合に、私が支払うものはありますか。

回答を記録に残したい場合は、メールで聞くと文面が手元に残ります。

断ってよいタイミングは相談前・提案後・見学後の3つ

断る時期は、紹介会社とのやり取りの進み具合で3つに分かれます。どの時期でも、断る判断をしてかまいません。違いは、伝える内容と、すでに動いてもらった分への配慮の仕方です。

時期断ってよい場面伝える内容
相談前(申込み直後〜初回面談前)連絡が多い、条件が合わなそうだと感じた相談を取りやめる旨と、連絡停止のお願い
提案後(施設リストを受け取った後)予算・エリア・介護体制が希望と合わない提案を見送る旨と、合わなかった条件
見学後(見学・体験を終えた後)雰囲気や費用の面で入居を見送るその施設を見送る旨と、今後の希望

相談前は、申込みフォームに入力した直後でも断れます。提案後は、リストを受け取っただけで施設とのやり取りは始まっていないため、気軽に見送れる段階です。見学後は施設側にも見学の準備があった分、早めの連絡が礼儀として望まれます。

見学の予約を入れた後に断る場合は、日程の前日までに連絡すると、施設側も他の見学者の枠に回せます。退院日が迫っている場合も、合わない施設に決めるより、その時点で断って別の候補に切り替える判断が現実的です。

電話・メール別の断り文例6本

電話の場合

電話は、相手の都合に合わせて話す時間が短く済むのが利点です。用件を先に言い、理由は一つだけ添えると、引き止めに入られにくくなります。

文例1:相談前に取りやめるとき

先日お問い合わせした者です。家族と話し合い、今回は相談を見送ることにしました。今後のご連絡は不要です。ありがとうございました。

文例2:提案後に条件が合わないとき

ご提案の施設を拝見しましたが、予算と場所の条件が合わず、今回は見送ります。条件を整理し直してから、必要になればこちらから連絡します。

文例3:見学後に入居を見送るとき

先日の見学ではありがとうございました。家族で検討し、今回は入居を見送ることにしました。施設側にもお伝えいただけますか。

電話に出られない時間帯が続く場合は、留守電に同じ内容を吹き込んでも構いません。着信が続くのを防ぐには、「連絡は不要です」という一言を最後に入れておくと伝わりやすくなります。

メールの場合

メールは言い回しを落ち着いて選べ、断った記録も残ります。件名に「ご相談の件」と入れておくと、相手が対応窓口を見つけやすくなります。

文例4:連絡頻度が負担なとき

件名:ご相談の件 お世話になっております。現在、家族の事情で連絡を受けることが難しくなりました。しばらく電話での連絡はお控えいただき、必要な際はメールのみでお願いします。

文例5:他の窓口で進めることにしたとき

件名:ご相談の件 丁寧にご対応いただきありがとうございました。病院の相談員とケアマネジャーを通じて探す方針に決めたため、今回のご紹介は見送ります。

文例6:施設の提案を一括で断るとき

件名:ご提案への回答 ご提案いただいた3施設は、いずれも予算の条件が合わず見送ります。今後は条件を見直した上で、必要があれば改めてご連絡します。

断る理由は、予算・エリア・家族の方針といった一般的な内容で足ります。紹介会社が個別の事情を詳しく聞く必要はありません。

断る前に紹介会社へ聞いておきたい質問チェックリスト

断るか続けるかを決める材料として、次の質問を電話かメールで聞いておくと判断しやすくなります。回答の良し悪しは会社や状況で変わるため、答えの内容より「具体的に答えてもらえるか」を見るのが目安です。

  1. 相談・見学同行・資料請求は、すべて無料で受けられますか。
  2. 入居しなかった場合に、私が支払うものはありますか。
  3. 対応エリアは、どこからどこまでですか。
  4. 退院予定日を伝えた場合、最初の提案までにどのくらいかかりますか。
  5. 見学の予約や同行、送迎は、どこまで頼めますか。
  6. 入居が決まった後のフォローは、何をしてもらえますか。
  7. 取り扱っている施設数と、そのうち私の条件に合う施設数はどのくらいですか。
  8. 高住連の紹介事業者届出公表制度に届出をしていますか。
  9. 他の紹介会社にも同時に相談している場合、扱いは変わりますか。
  10. 連絡手段や時間帯は、メールのみ・夜間不可などと指定できますか。

8番の高住連の届出は、公式の検索ページで確認できます。高住連によると、届出は毎年更新で公表期間は毎年10月から翌年9月末まで、遵守項目に違反や虚偽があれば公表が取り消されることもあります。届出は高住連への入会を意味しない点も、同団体は示しています。

断れないと感じる理由と、断りやすくなる準備

断りにくいと感じる背景には、親切に対応してもらった負い目や、退院日が迫る焦りがあります。ここでは、気持ちを軽くする準備を3つ挙げます。

1つ目は、相談の入り口で「比べるために複数の窓口を使っている」と伝えておくことです。最初から断る可能性を示しておくと、後の連絡が軽くなります。関連記事: 老人ホーム紹介会社は複数に頼む?1週間の動かし方

2つ目は、条件を紙にまとめて渡すことです。予算・エリア・要介護度・医療行為の有無を先に書面で示せば、合わない提案が減り、断る場面そのものが少なくなります。連絡が頻繁で困っている場合の対処は、別の観点でも整理できます。関連記事: 老人ホーム紹介会社がしつこい時の止め方と選び方

3つ目は、紹介会社だけに頼らない選択肢を持つことです。病院の相談員やケアマネジャーに並行して相談しておけば、紹介を断っても探す手段が残ります。紹介会社を使うべきかどうかの判断材料は、別に整理しています。関連記事: 老人ホーム紹介センターを使うべき人と不要な人の判定表

なお、LIFULL seniorと高住連事務局長の対談(2025年7月公開)では、成約後の金銭による誘導は届出制度上の倫理に反する例とされています。強い引き止めや、断った際の不自然な対応を受けた場合は、その会社との相談を打ち切る判断材料になります。

よくある質問

断ったあとに連絡が来続けたら、どうすればよいですか。

断りの連絡に「今後の連絡は不要です」と明記したメールを送り、その記録を残してください。それでも続く場合は、電話番号やメールアドレスの登録削除を文面で依頼する方法があります。

一度断った紹介会社に、あとから再相談してもよいですか。

再相談を申し込むこと自体に問題はありません。条件や退院の時期が変わった場合は、現状を最初から伝え直してください。以前の提案に引きずられず、新しい条件で提案してもらえるか確認すると進めやすくなります。

見学のあとに断ると、施設に迷惑がかかりませんか。

見学は入居を決める前に確かめるための場なので、見送る判断をしても問題ありません。早めに紹介会社へ連絡すれば、紹介会社が施設へ伝えてくれる場合があります。直接伝えたいときは、見学のお礼を添えて電話かメールで一言入れておくと丁寧です。


本記事の情報は2026年11月時点で公開されている情報をもとにした目安であり、紹介会社・施設・自治体によって条件は異なります。退院時期や介護度に関わる判断は、病院の相談員・ケアマネジャー・自治体窓口にご相談ください。